夕空の向こうには

新宿の東側から線路を越えて西の方へ歩いていた。

高校が新宿の近くだったので、新宿とは高校生の頃からの付き合い。
だから慣れていると思ってきた。

西口の雑踏を少し抜けると、いきなりビルの間が抜けて、夕焼けが目に飛び込んできた。
心が「ほっ」と深い息をついたような感覚になった。

「慣れている」とは、居心地が良いこととは違うのかもしれない。
どの道を通れば行きたい所に行けるか。
上手くこなす情報や知識を持っているだけで、好きか嫌いかとは、また別なのだ。

開けた空を見た瞬間、もう少しゆっくり時間が流れるところが「自分が幸せと感じられる場所なのだろうな。」と心に浮かび上がってきた。

夕焼けを見て、流れゆく時間を味わうこと。
あの夕空の広がる下で、あの人は何をしているのだろう。
犬と散歩をできる夕焼けの時間。
空を広く感じる田舎のおばあちゃんちの夕空。
夕暮れにまつわる、私の幸せなひと時。

そんな時間が過ごせるだけで、本当は幸せなんだ。
いや、そんな時間を過ごせることこそが、幸せなんだ、私には。






ふらっと旅人 / Flat Tabibito

どこか遠くへ、 「ふらっと」旅をした時のこと。 日々の暮らしの中でも、 「ふらっと」入った新しいお店、 「ふらっと」気の向くままに歩いて巡り合った景色。 遠くのどこかも、すぐ近くのあの場所も、 私にとっては同じ旅をすること。 「ふらっと」軽やかな気持ちで、そして、日常も、非日常と捉えられがちな旅先も、実はひとつながりなのだよ、という意味を「flat」に込めて、綴っていきます。

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